東京高等裁判所 昭和25年(う)4096号 判決
原判決が被告人の肩書職業を「新聞記者」と記載しながら、その理由の冒頭に被告人は自宅に支局を置いてあるSP通信社の副社長であると判示していることは所論のとおりである。しかしながら、一般に「新聞記者」という語は必ずしも新聞記事の取材に専従する新聞社職員だけに狭く用いられるものではなく、その他新聞紙の編集に当る者も新聞記者であり、これを広くいえば新聞紙の内容作成に関与する新聞社の職員はすべて新聞記者と呼ばれるのが一般の用例である。そして、このことは、他面においてその者が新聞社の経営その他の事務をつかさどつている場合においてもなんら変りはないのであつて、ことに地方における規模の小さい新聞社にあつては同一人が新聞社の経営その他事業の総括面を担当すると同時に自ら取材し編集の任に当ることも決して珍らしいことではないのであるから、原判決が前記の如く被告人を通信社の副社長であると判示しながら同時にその職業を新聞記者と記載したからといつてそこに理由のくいちがいがあるということはできない。もつとも、右のごとく被告人がSP通信社の副社長であるという原判示事実は、原判決の挙示する証拠によつてはこれを認めるに足りないのである。けれども、被告人が右通信社の副社長であつたかどうかということは本件恐喝罪の罪となるべき事実に属しないことがらであるから、この点について証拠を掲げない違法があつても、判決に理由を附しないものとはいえない。
よつて論旨はいずれの点からしても理由がない。